桜染めの話:おそらく花の中に最初の視覚が試みられた
記事名は、フランス画家オディロン・ルドンの作品から(詳細)。
美術館でこの作品と作品名を見たとき、”人間の「目」と植物の「芽」は語源的につながりがある”という話を思い出したのもあり、とても印象に残っているのでした。
「目=芽」だけではなくて、「鼻=花」「耳=実」で、人の「死ぬ」は植物の「萎(しな)ぶ」に対応していて、人の「魂離(たま・か)る」は植物の「枯る」に対応していると言います。
人間は言葉によって、植物と自らをつなげていたというか、同一視していたというか…。面白いなあ。
春だ!桜だ!桜染めの季節だ!
麻績の桜もいよいよ満開に近づいて参りました。
よし、桜染めをするぞー!と、公民館の調理室を借りて、村の方と枝をちょきちょき。
外の桜は盛りでも、草木染に使用するのは、花が咲く前の枝。
先日、同僚の方が聖高原で剪定の際にでた桜の枝をいただいて来てくれたのです。
ただこの枝、蕾と一緒に葉の芽も出ているような。 ソメイヨシノではなさそう。
こんど、お聞きしてきます。
桜の淡いピンクがでたらいいなあ、と思いながら作業開始。
煮出した
お、思いっきり、黄色だ…。
桜色になるはずがない、と思いつつも「それはそれで」と思い木綿のストール(地入れ済)を浸す。
すると…
微妙に!うっすらと!桜色だ!写真だとわかりづらいけれども。
枝から黄色い液が抽出されることにも驚くし、黄色い液から赤みがかった色に染まることにも驚く。
草木染は、こういうところが面白いです。
春色のストール
本当に、淡い色なのですが、このような色合いに染まりました。
が問題が一つ。
実はこの生地は、一つ上の画像の生地とは違います。
一つ上の画像の生地は、媒染液(植物染料の定着をよくする為に浸す、金属を含んだ液)に浸けた途端に黄色に戻ってしまったのです。
それはそれで可愛らしい色だったのですが、私としては桜色をどうしても残したい気持ちがあり、
この画像の生地は、酢酸で色止めを行っています。
もとより、化学染料より褪せやすいことが特徴の草木染。
この色はどのくらい保ってくれるのかしら……。
感覚から理論の理解へ
草木染は、植物というイキモノを相手にするので、同じ植物を使用しても、採取時期、採取場所、当日の天気、煮出しの温度…と数え切れない条件の変化ひとつで、色が千変万化します。
それが魅力ではありますが、勘だよりでやっていては得るものがなにもありません。
色素の名前、温度と酵素の関係性、諸々。
もっと踏み込んだところを、勉強していかねばと思っています。
といいつつも、春は何と言っても植物がいきいきとする季節!
身の回りのもので、たくさん春の色を染めてみたいです。