私と言葉と麻績と

長野県東筑摩郡麻績村。「麻を績む」と書いて「おみ」。発見のメモ帳。

あなたは「とてっきょ」を知っていますか

四月の雪

f:id:potetoko:20150408182717j:plain

  全国的に季節外れの雪が降った日だったそうで。麻績村も例に漏れず雪が降りました。去年の今頃にも雪が降って、長野にきたばかりの私はたいそう驚いた記憶があります。

 桜が咲いていなかったのは幸か不幸か。つぼみたちが、雪に抗うように紅潮していてあいらしい。もう少しで開花かな。

旬のお料理をいただくだけの簡単なお仕事

 今年の私の担当業務のひとつは「おみごと文庫」の取材と編集。村の方々と協力して一冊の本を作ります。

 今年のテーマは「麻績の昭和の生活と季節食」。

 麻績のおばさま…もとい「おみばーば」のみなさまと一緒に、麻績の素材をたっぷり使用したお料理のレシピ本をつくります!

 つまり、業務内で旬の料理をいただけるということなのです…なんという役得……。

 本日は第一回目の調理。春の料理をいただきます。山菜は前日に採りに行きました!

f:id:potetoko:20150408183913j:plain

 じゃじゃーん。

「とてっきょ」ってなんですか?

 本日使用した山菜は、フキノトウ、ウド 、クジナ(たんぽぽ)、ネゼリ。

 その中に紛れ込む謎の山菜……「とてっきょ」。「ホーホケキョ」みたいな謎の響き。

 その正体は「野萱草(のかんぞう)」と呼ばれる山菜。一見ただの草だ…。

f:id:potetoko:20150408185511j:plain

 でもこれが、癖がなくておいしい。特に酢味噌和えが絶品。

豪華すぎる昼食

f:id:potetoko:20150408185752j:plain

 圧倒的な贅沢。山菜のてんぷら、蕗味噌、とてっきょやうどの酢味噌和え、ネゼリやクジナのエゴマあえ、桜餅におだんご、五目寿司。

 美味しくいただきました(合掌)

 もちろん取材写真も撮りました!

f:id:potetoko:20150408190142j:plain

 美味しい食べ物を美味しそうに撮るのは、思いの外難しい。

結局「とてっきょ」の語源はなんなんだ

 「とてっきょ」の原型と思われる呼び方は「とてこっこ」。

 「とてこっこ」は「こけこっこ」と同義で、どうやら鶏(ひいてはトサカ)を指すようです。

 ノカンゾウの芽吹きの様子を、鶏のトサカに見立てて「とてこっこ」。

 「とてこっこ」が変化して「とてっきょ」になった模様。

 「totekokko」から「totekkyo」…。私は方言専攻でないので音便変化には疎いのですが、気になる変化だなと思いました。そしてなにより響きがかわいい。

 春の恵みをいただくと同時に、素敵な言葉にも出会った一日でした。

 

 次回はコシアブラやタラノメ、コゴミを使う予定です。

 

参考:とてこっこ・飛騨方言

   とてこっこ ‥ヤブカンゾウ